SPC(特別目的会社)の仕組みは?投資家目線でのメリット・デメリット

SPCとは資金調達を目的に作られる会社

もしかするとこの記事を見ているあなたは、不動産投資の場面で良く耳にする「SPC」について、その意味やメリット・デメリットについて興味を持たれたのではないでしょうか。

実際に、SPCの設立には様々なメリットがあり、いわゆる「不動産の証券化」(詳しくは後述します)といった場面では必ず行われ、SPCを利用することで大口の資金調達を可能としております。

実際に有名な例としては、六本木ヒルズや歌舞伎座もSPCを利用することで不動産の証券化を行い、大型の資金調達をすることで建築されております。

この記事では、SPCの概要からメリット・デメリット、スキームについて詳しく解説しています。

SPCについて詳しく知っておく事で、不動産投資での知識や仕組みを理解しやすくなるはずです。ぜひお役立てください。

SPCとは資金調達を目的に作られる会社

SPC(Special Purpose Company)とは、日本語で「特別目的会社」と呼ばれ、

企業が不動産等の特定の資産を会社から切り離し、その資産を利用した事業のためだけに作られる会社(ペーパーカンパニー)です。

つまり、特定の資産を会社のクレジットから切り離し、その不動産資産の価値にのみ依拠して資金調達を行うことができるようになります。

SPCには3種類のスキームがある

SPCには3種類のスキームがある

主に、不動産関連の事業でのSPC設立には3種類のスキームがあります。

1,GK-TKスキーム
2,TMKスキーム
3,REIT(投資法人)スキーム

それぞれのスキームによって特徴が異なるので、詳しく理解しておくと不動産投資の際にも参考にすることができるでしょう。

2-1. GK-TKスキーム

GK−TKスキーム

不動産等を保有する法人  合同会社(会社法)
必要な手続 適格機関投資家等特例業務を行う場合、適格機関投資家等特例業務の届出が必要
不動産等を運用する法人として必要な許認可等 金商法
投資家の勧誘に必要な許認可等  金商法上の第二種金融商品取引業登録
対象資産 不動産を主たる信託財産とする信託の受益権
法人税の特例 特例なし(匿名組合契約の配当は損金算入可能)
登録免許税 受益者変更に伴う登録免許税は1件 1,000 円
不動産取得税 信託の受益権の譲渡につき、不動産取得税は非課税

引用元:株式会社 日本経済研究所 – 不動産の証券化に関する基礎知識

GK-TKスキームとは、合同会社と匿名組合を組み合わせた投資スキームです。

合同会社(Godo Kaisha)と匿名組合(Tokumei Kumiai)契約を組み合わせたスキームなので、それぞれの頭文字をとってGK-TKスキームと呼ばれます。

対象資産を保有するSPCとして会社法上の合同会社(GK)を設立し、

・投資家からの匿名組合出資
・金融機関等からの借入れ

によって調達した資金で、対象資産として信託の受益権を取得する仕組みとなっています。

主にGK-TKスキームは、私募ファンドといわれる非上場のファンドで利用されます。

設立が比較的容易な事や、管理コストが低いことからSPCで最も利用されるスキームです。

2-2. TMKスキーム

TMKスキーム

不動産等を保有する法人 特定目的会社(資産流動化法)
必要な手続 資産流動化法に基づく「業務開始届出」が必要
不動産等を運用する法人として必要な許認可等 ・資産流動化法
・金商法
投資家の勧誘に必要な許認可等 金商法上の第一種金融商品取引業登録
対象資産 制限なし
法人税の特例 租特法による特例あり
登録免許税 ・受益者変更に伴う登録免許税は1件1,000円
・移転登記(本則税率)20/1000→13/1000
不動産取得税 ・不動産の場合:課税標準の3/5を控除
・信託の受益権の場合:信託の受益権の譲渡につき、不動産取得税は非課税

引用元:株式会社 日本経済研究所 – 不動産の証券化に関する基礎知識

TMKスキームとは特定目的会社(Tokutei Mokuteki Kaisha)の略称であり、資産流動化法に規定される法人のことを指します。

TMK スキームは特定目的会社が資産流動化計画に基づき、投資家等から資金調達を行って現物不動産や信託の受益権等の資産を取得します。

そして当該資産から生ずるキャッシュフローにより銀行等へのローンの返済や投資家へのエクイティの配当を行う仕組みとなっています。

TMKスキームでは税法上の優遇措置を受けることができますが、特定目的会社として許容されている事業範囲が資産流動化法で定められていたり、業務を開始するまでに事業の詳細を記載した書面(資産流動化計画)の作成等プロセスが煩雑であり、管理コストがかかる点がデメリットです。

そのため、不動産証券化のSPCとしてTMKスキームが利用されることは少なくなっています。

2-3.REIT(投資法人)スキーム

REIT(投資法人)スキーム

不動産等を保有する法人 投資法人(投信法)
必要な手続 投信法に基づく「登録」が必要。なお、投資法人の設立にあたり、投信法に基づく「届出」が必要
不動産等を運用する法人として必要な許認可等 ・投信法
・金商法
・宅建業法
投資家の勧誘に必要な許認可等 金商法上の第一種金融商品取引業登録
対象資産 ・有価証券
・デリバティブ取引に係る権利
・不動産
・不動産の賃借権
・地上約束手形
・金銭債権
・匿名組合出資持分
・商品、商品投資等取引に係る権利
・再生可能エネルギー発電設備
・公共施設等運営権
法人税の特例 ・租特法による特例あり
登録免許税 ・受益者変更に伴う登録免許税は1件1,000円
・移転登記(本則税率)20/1000→13/1000
不動産取得税 ・不動産の場合:課税標準の3/5を控除
・信託の受益権の場合:信託の受益権の譲渡につき、不動 産取得税は非課税

引用元:株式会社 日本経済研究所 – 不動産の証券化に関する基礎知識

REIT(リート)とは、Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)の頭文字をとった略称です。

投資法人スキームとは、投資法人・投資信託に関する法律にもとづくREIT(投資法人)を設立し、金融機関・投資家から資金を集めて運用するスキームです。

また、投資法人が発行する有価証券である投資口は、東京証券取引所に上場することが可能です。

投資法人スキームは、収益性の高い不動産の長期的な運用に適したスキームであり、不動産形成・再生事業としても活用されています。

SPCを設立するメリットは資金調達がしやすくなる事

SPCを設立するメリットは資金調達がしやすくなる事

不動産事業者がSPCを設立するメリットはずばり資金調達がしやすくなる事にあります。

なぜ資金調達がしやすくなるか、それはSPCを設立する事で、いわゆる「倒産隔離」を図ることができるためです。以下に詳しく説明します。

倒産隔離

例えば、企業が保有しているある不動産を利用して事業を開始しようと考えている場合、その企業はSPCというペーパーカンパニーを設立し、そのSPCに不動産を保有させることで、企業のクレジットから不動産を分離します。これを「倒産隔離」と呼びます。

企業が保有・運用する不動産を関係者の企業の倒産等のリスクから切り離すことにより、投資家や銀行は、企業のクレジットを考慮する必要がなくなり、その不動産が生み出すキャッシュフローのみを対象として与信判断することが可能となります。

その結果、不動産事業に必要な大型の資金について銀行から融資を受けたり、多くの投資家に持分を売却することにより資金を調達する事が可能となります。

このように、不動産を小口化し、多くの投資家に売却する仕組みを「不動産の証券化」と呼びます。

SPCを設立するデメリットは管理コストがかかる事

SPCを設立するデメリットは管理コストがかかる事

SPCは設立のために複雑な手順を踏む必要がある事や、

・信託銀行
・会計事務所
・弁護士事務所

など様々な関係者に業務を依頼する必要があり、多くの関係者から手数料が発生する事がデメリットとなります。

まとめ|不動産事業を始めるならSPCを設立するメリットは大きい

まとめ|不動産事業を始めるならSPCを設立するメリットは大きい

SPCを設立する事で、不動産等の特定の資産を会社から切り離し、その資産を利用した事業のためだけに会社を作る事ができます。

この「倒産隔離」を図ることにより、銀行や投資家は企業のクレジットを考慮する必要がなくなり、その不動産が生み出すキャッシュフローのみを対象として与信判断することが可能となります。

その結果、資金調達がしやすくなるということが大きなメリットになります。

この記事を最後まで読んだあなたが、SPCのメリット・デメリットについて詳しく知り、今後の不動産投資に役に立てて頂ければ幸いです。

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