ソーシャルレンディングのリスクとは?投資する際の注意点について解説
※ファンドへの投資申込を行う際は、事前に詳細を十分に確認し、リスクを理解した上でのご決定をお願いいたします。投資後は"ほったらかし"で運用することが可能ですが、運用状況の確認のため、定期的にログインしていただくことをお勧めいたします。
※本記事に記載されている内容のうち、当社サービス以外の個別の商品・銘柄・企業名については、あくまでも参考として掲載しているものであり、当社はその商品、銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。 最終的な投資の実行は、ご自身の判断と責任の下で行っていただくようにお願いいたします。
ソーシャルレンディング、いわゆる「貸付型クラウドファンディング」は少額で投資できることに加えて利回りが高い(年利4.5%〜8%くらい)ことが魅力です。集めた資金を貸付の方法で事業者に提供するので、投資家は「利子」という形で一定の金銭的リターンを受け取ることができます。従って、株式投資やFXのように価格が変動することもなく、一度投資をするだけで定期的に分配金を受け取ることができるため、今般人気を集めている投資商品です。
しかし、ソーシャルレンディングには投資する前に知っておかなければならないリスクが存在します。
今回は、ソーシャルレンディングのリスクや投資する際に気をつけなければならない注意点について解説します。
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目次
ソーシャルレンディングではなぜ問題が発生している?
まず、ソーシャルレンディングに投資を検討する上で、いくつかのソーシャルレンディング事業者は、過去(または現在も)貸付先の返済遅延やデフォルト(債務不履行)などを引き起こしてしまっていることを認識しましょう。
こうした問題の背景には、行政当局からの指導により、借入人の複数化、匿名化が求められていたことがあります。
この趣旨としては、貸付先企業が貸し倒れになった際に、インターネット上の不特定多数の投資家からの無秩序な取り立てを防止するというものがありました。そのような取り立てが可能とするような貸付を行ってしまった場合には、インターネット上の投資家も実質的には貸金業法上の登録が必要ではないかという問題意識による金融庁による行政指導です。
しかし、このような行政指導の結果、こうした貸付先のあいまいな情報開示を利用し、一部の事業者で投資家に虚偽や誤解を与える表示など、投資家保護上の問題が認められたことから、金融庁が行政処分(登録取り消し、業務停止)を行っています。
具体的には、以下のような問題が発生しました。
● 担保設定していないにもかかわらず、債権が保全されているような表示
● ファンドの償還金に他のファンドの出資金を充当
● 正式な不動産鑑定評価を行ったものではなく、対外的に公表できない不動産価格をウェブサイトに掲載し、担保評価について誤解を与える表示
● 実在しない事業をウェブサイトに掲載
こうした問題を受け、金融庁は、利回りなどの表面的な情報だけで投資判断をせず、業者が提供するさまざまな情報を確認するように注意喚起しています。
〔参考:金融庁ホームページ〕
https://www.fsa.go.jp/ordinary/social-lending/index.html
ソーシャルレンディング事業者を選ぶ際の注意点
ソーシャルレンディング事業者を選ぶ際は、「融資先企業を識別できる事業者を選ぶ」こと、つまり投資家に対してきちんと情報公開をしているかが重要なポイントです。
また、分配金の支払や元本返済の実績も必ず確認しましょう。ソーシャルレンディングでは融資先企業の社名は公表されませんが、投資家が融資先企業を識別できるように「A社」「B社」のような表示をしている事業者もあります。
同一の融資先企業が複数のファンドで融資を依頼しているケースもあるため、融資先企業を識別できないと、ファンドを分散しても投資資金が同じ借り手に集中してしまうかもしれません。
過去にデフォルト(債務不履行)を発生させてしまっていたり、何らかの行政処分を受けたりしたことがある事業者でないかも確認が必要です。また、最初からまとまった資金を投資するのではなく、お試しで少額投資をしてみるのもおすすめです。
入出金のしやすさ、画面の見やすさ、問い合わせへの対応など、実際に試してみないとわからないことはたくさんあります。まずは少額投資をしてみて、使いやすいと感じた事業者を選んで投資額を増やしていくとよいでしょう。
投資資金を同一の企業に集中させるのはリスクが高いので、融資先企業が識別できる事業者を選ぶことが大切です。
知っておきたいソーシャルレンディングの5つのリスク
ソーシャルレンディングで発生している問題を踏まえ、リスクについて確認していきましょう。
①貸し倒れリスク
貸し倒れとは、融資先企業(貸付先)の倒産により、分配金や投資元本の一部または全額が返済されなくなってしまうことです。
元本保証はされないので、貸し倒れが発生すると投資した資金を取り戻すのは難しくなります。貸し倒れリスクを最小限にするには、投資するファンドを分散することが大切です。
また、ファンドの情報から、担保や保証の有無についても事前にしっかり確認しておきましょう。担保や保証があれば、融資先企業が倒産しても担保を売却して返済をしてもらえたり、保証人に代理返済をしてもらえたりする可能性があります。
②事業者の倒産リスク
ソーシャルレンディング自体が新しい仕組みであるため、事業者の中には設立から数年しか経っていない、経営状態が不安定な企業もあります。 融資先企業の経営状態には問題がなくても、事業者が倒産すると投資資金が返済されない可能性があるので注意が必要です。
投資する前に、事業者の業績や経営状態、出資企業、投資資金の管理方法などを確認しておきましょう。
③流動性リスク
ソーシャルレンディングはファンドごとに運用期間が決まっており、運用期間中は定期的に分配金を受け取れますが、途中解約はできません。
運用期間が終了するまで投資資金は戻ってこないため、急にお金が必要になると資金繰りに困ってしまいます。ソーシャルレンディングは一般的に利回りが高いので、途中解約ができない流動性リスクを考えずに投資資金を増やしてしまいがちです。
急にお金が必要になっても困らないように、余裕資金で投資を行いましょう。
④利回りとリスクの関係
ソーシャルレンディングの中には利回りが10%を超えるファンドもあります。高利回りで運用できるのは魅力ですが、基本的には利回りが高いファンドほど貸し倒れリスクも高くなります。
投資をする上で一番大切なのは、元本と利息を予定通り回収できることです。利回りの高さだけに注目するのではなく、ファンド情報や担保・保証の有無などを確認し、リスクが低いファンドを選ぶことが大切です。
⑤分配方法とリスクの関係
ソーシャルレンディングには、以下3つの分配方法があります。
● 元本一括返済(毎月利息を分配し、運用期間終了時に元本を一括返済)
● 満期一括返済(運用期間終了時に利息と元本を一括返済)
● 元利均等返済(利息と元本を毎月同額返済)
元本一括返済は最も多い分配方法で、毎月一定の利息収入を得られるため、いくら利益を得られるか把握しやすいのがメリットです。しかし、運用期間が終了するまで元本は返済されないので、貸し倒れリスクは高くなります。
満期一括返済は、運用期間が終了するまで1円も入ってこないため、元本一括返済よりもさらにリスクは高いです。
元利均等返済は毎月利息と元本が返済されるので、元本一括返済・満期一括返済に比べるとリスクは低くなります。扱っている業者は少ないですが、リスクを低くしたい場合は、元利均等返済の事業者・ファンドを選ぶとよいでしょう。
融資先企業を選ぶ際の注意点
ソーシャルレンディングで融資先企業を選ぶ際は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。利回りが高いファンドは魅力ですが、事業者は融資先企業に対して、投資家の利回り以上の金利でお金を貸しています。
たとえば、利回り10%のファンドなら、事業者の利益を上乗せして15%程度で融資している可能性があります。利回りが高くなるほど融資先企業の金利負担は大きくなるため、リスクに備えるなら4%~8%程度の利回りのファンドを狙うのがおすすめです。
また、担保や保証が設定されていると、貸し倒れが発生しても元本が返済される可能性が高くなるので、担保・保証の有無は必ず確認しましょう。
金融庁が情報開示を求めていることから、最近は融資先企業の情報開示に対応する事業者が増えています。融資先企業が公表されているファンドを選び、企業のホームページなどで業績・経営状態を確認したうえで投資できると安心です。
日本のソーシャルレンディング事業者一覧
日本の主なソーシャルレンディング事業者をまとめました。
● maneo
● SBIソーシャルレンディング
● クラウドバンク
● LCレンディング
● クラウドクレジット
● オーナーズブック
● スマートレンド
● プレリートファンド
● アップルバンク
● SAMURAI
● さくらソーシャルレンディング
● レンデックス
● ジェイ・レンディング
● Pocket Funding
● ネクストシフトファンド
他にもさまざまな事業者は存在していることから、ソーシャルレンディングの注目度の高さがわかります。
※2019年5月現在、口座開設を停止している企業は含めていません。
まとめ:ソーシャルレンディングのリスク
ソーシャルレンディングは利回りの高さが魅力ですが、融資先企業の情報が公開されていないなど、情報の透明性に課題があります。
そもそも融資先企業の情報がわからないということは、「何に投資しているのかわからな い」という状態ですので非常にリスクの高い行為です。
投資をする際には、事業者と融資先企業の情報をきちんと把握することが大切です。
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