投資家インタビュー(エミン・ユルマズ様)|リスクを取りにいかない人間は成長しない

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※本記事に記載されている内容のうち、当社サービス以外の個別の商品・銘柄・企業名については、あくまでも参考として掲載しているものであり、当社はその商品、銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。 最終的な投資の実行は、ご自身の判断と責任の下で行っていただくようにお願いいたします。

プロフィール

お名前:エミン・ユルマズ様(エコノミスト、グローバルストラテジスト)
主な投資歴経験:株式投資、FX・コモディティ

自己紹介(投資を始めるまでの経緯)

私はトルコのイスタンブール出身で、16歳のときに国際生物学オリンピックにトルコ代表として参加して優勝しました。そのリワードとして、当時のトルコの文部省系列の教育財団から海外に行ける奨学金が出たんです。

皆がアメリカとかヨーロッパを選ぶなかで、私は日本に魅力を感じました。来日して日本語学校に通って、すごく気に入りました。その後も日本で大学受験をして、東京大学工学部化学生命工学科に入学し、化学生命工学修士号まで取得しました。

2006年に野村証券に入社。最初は企業買収・合併などのM&Aのお手伝いを3年くらいやりました。リーマン・ショックが起きる直前にマーケットサイドに移動して、日本株の機関投資家への営業を担当しました。

その後に、日本の機関投資家さんに外国株式を売る部門に移って、2014年に野村証券を辞めて一旦トルコに帰りました。2015年には日本に戻って、野村証券時代の上司だった方と働き出して、2016年に「複眼経済塾」という会社を作ったのです。そこは個人投資家さんに、主に会社四季報の読み方とか日経新聞の読み方や、基礎から応用まで教える塾で、私は8年くらいやらせていただきました。

ただ、私がメディア出演とか執筆の仕事が多くなり、塾講師の仕事が難しくなってきたので、2024年3月に複眼経済塾を退社。自分の持ち株も他のパートナーに譲渡して、現在は100%自分のビジネスをやっています。

投資を始めたきっかけ

金額は小さいですが、学生時代から投資をしていました。

もともと予測不能な動きをする生き物が好きで、(株価などの)日々変化する相場にも同じような面白さを感じます。また、予測が当たったときの満足感があるのです。

私にとって相場も生き物も似たようなもので、経済・金融業界に行ったのもそのためです。相場は何百万人、何千万人の人たちの行動や心理、精神状態から動くため、まるで生き物のように感じられます。

証券会社で働いたから見えた「証券会社の裏側」

私が投資を唯一できなかった時期は、M&Aをやっていた約3年間です。インサイダー部門にいたので、個別株や派生商品を購入できませんでした。マーケットサイドに移ってから、日本の個別株に投資できるようになりました。

ただし、証券会社にはいろいろルールや制限があります。たとえば、買った銘柄は一定期間保有しないといけないとか、その売買を報告しなければいけないとかです。

あと、日本のおかしなところだと思いますが、証券マンとかの金融関係者こそ投資をしてないのです。投資をしていると周囲からあまり良い目で見られず、「何か情報を掴んだんじゃないか?」と疑われることもあるからです。

私はそんな状況をずっと疑問視していました。「私たちは株のセールスマンだから、株の投資をしないでどうするんだ」と思いました。それは、「車に乗ったことない人が車のセールスをやってるようなもの」です。ほとんどの証券マンは口座さえ作ってないんですよ。会社と揉めたくないっていうのもあるだろうし、証券会社としてはトラブルになる可能性があるから、学生時代に投資した人を嫌がるのです。

これは日本の縮図で、ありとあらゆる業界において、スキャンダルとかコンプラを気にしすぎてしまって、身動きが取れないのですよ。でも、それによってイノベーションが低下したり、金融業界に限って言う、本当の意味で株のことが分からない金融関係者が生まれるのです。結果的には、個別株を語れる人は少なくなってしまいました。

個別株を語れる人が少ないことと、コンプライアンスを気にして、証券会社も(投資信託などの)パッケージ商品に力を入れるようになりました。この状況については、実は金融や証券関係者が一番危機感を感じるべきだと思います。パッケージ商品を売るのはそこまで専門性を必要としないため、そのうち証券マンに高い給料を出さなくてもよいのではと思うようになるかもしれません。

結局、SBIや楽天のネット証券が力をつけてきたから、大手証券会社の手数料の高い口座が選ばれにくくなっています。しかも、どんどん参入障壁が低くなり、システムと金融庁の許可があれば、誰でも証券会社を作れるようになっていますね。

投資のマイルール

エミン・ユルマズ様がインタビューに答えている様子

基本的に長期スパンで、複雑なヘッジ戦略を用いています。

私の感覚では一攫千金を狙うことはなく、年利7〜15%くらいのパフォーマンスが出れば満足です。ここ7〜8年でも日本株は上昇サイクルにあり、安定したパフォーマンスを得ています。

ただ、アップサイド※1よりも、ダウンサイドプロテクション※2を重視しています。ダウンサイドリスクが少ない銘柄に投資しているため、持ち株が下がってもそのままで気にしません。
※1:投資先の将来的な成長や利益の可能性
※2:投資で損失を最小限に抑えるための戦略・仕組み

ポートフォリオは流動的に幅広くいじっていて、過剰なポジションを取ったときはヘッジをかけています。たとえば、メキシコペソの売りを立てる場合は、ランドの買いで組み合わせています。どこかの島に1週間行って相場をまったく見なくてもいいポジションを組んでいます。もちろん仕事として相場の分析をしているので常に相場をウォッチしていますが、自分のポートフォリオ的にはまったく心配していないです。

ヘッジをかけるとアップサイドが少なくなるけれど、ダウンサイドもないから安心です。だけれど、これはプロの技なので、一般の方には難しいかもしれません。だから、一般の方は過剰なリスクを取らずに、夜に安心して眠れるポジションを取ることがポイントです。気になって寝れない場合は、ポジション取りすぎです。レバレッジのかけすぎや投資してはいけないお金を投資していることも原因ですね。

主な投資手法

FXからコモディティ投資まで幅広く行っています。また、個別株は自分が気に入った銘柄を選んで長期で持つのが好きです。株だけでなく、去年はFXや貴金属の先物も取引しました。

ちなみに、最近の金の価格上昇と比べると、日本株はたいして上がってないのですよ。アベノミクスのスタートから見ても、金と株のパフォーマンスはそこまで乖離しておらず、株のリスクを背負う意味があったのかと疑うくらいです。

金はほぼリスクのない商品だから、株価が金と同じくらい上がっても、単純にインフレに対して資産が上がっただけで、実質そんなに評価されたわけじゃないですよね。だから、日本株の本格的な上昇はまだまだ先だと思います。

資産運用での印象的なエピソード

エミン・ユルマズ様がインタビューに答えている様子

成功例

個別株、特に中小型株で成功例があります。リーマン・ショック直後に買った株が、10〜20倍になりました。その手のものは会社四季報を読みながら、ひょんな気づきから始まるのですよ。

たとえば、広島の小さなリフォーム会社・ウエストホールディングス(1407)が、当時世界大手の中国の太陽電池メーカーと業務提携したという記事を見かけました。そこで、「なんでこんな小さい会社が大手と関係を持てるのか?」と思い、これは面白いかもしれないと感じて、株を買ってみました。詳しく調べると、その小さな会社はリフォームをするときに太陽光のソリューションを付け加えていたのです。

結局、その株は1年ちょっとで20倍になったのですよ。当時、私は今みたいに我慢できなかったから、7倍のときとかに売ったのですが。

株式投資はファンダメンタルズが大事なので、バランスシートからキャッシュフローまで詳しく見ます。自己資本比率、営業キャッシュフロー、業績予想などの基本的条件をクリアしたうえで、プラスアルファの要素を見つけることが大切です。

「株は物語であり、企業は物語を語る存在」です。たとえば、今だったらNVIDIAの社長が語っているストーリーに感動して聞いている人が多いから、株価がすごく上がっているわけですよ。株式投資はすべて物語です。物語を語っている人たちがどれだけ上手いかによって、そこに人々の関心が集まって株価が上がるので、そういう美しいストーリーを語っている会社があれば面白いですね。

失敗例

東日本大震災の直後に積極的に日本株を買ったものの、原発事故という予測できない状況により失敗しました。また、コロナショックのときは景気後退時にいけそうな株を購入しましたが、パンデミックという新しいパターンにより予想が外れました。

たとえば、結婚式場。景気後退になると、実は結婚関連の銘柄の株価が上がります。結婚率は景気が悪いほうが上がるからです。カップルになって、収入を合わせた方が景気後退に強いからです。

ただ、パンデミックは想定以上に長引いたし、通常の景気後退ではなかった。人と人の交流が大きく減りました。結局普通の景気後退なら結婚が増えるけど、結婚式はパンデミックだからできず、開催が後回しになっていったので、株価が上がらなかったのです。

パンデミックや災害など、これまでの経験が通用しない新しいパターンが来ると、先のシナリオが読みづらくなって、株価の動きが予測できなくなることを痛感しました。

また、2022年頃に「中小型株はもう上がらない」と思いました。個別株は夢や物語があって、アップサイドがあると思っているから、特に日本の中小型株が好きでいっぱい買います。しかし、2022年に中小型株の下げ方を見て、「市場の流動性が投資家の行動や価格変動に大きく影響を与える相場から、中小型株は厳しいだろう」と気づきました。

中小型株で難しいのは、規模が小さいと良い銘柄でもなかなか上がらないことです。目先の指数が上がっているのに、自分が持っている中小型株が上がらず、フラストレーションが溜まっている投資家さんはいっぱいいると思います。今の相場は、おそらく外国人投資家とか機関投資家に買い支えられているので、中小型株にお金が回っていない状況です。

もう一つはパッシブ・イン・ベストメント※が主流になったことによる弊害です。要は、積立とかETF指数ファンドが主流になってパフォーマンスもいいので、投資家さんはアクティブ投資をせず、個別株を買わなくなってしまいました。
※投資家が市場平均に連動するリターンを目指す投資戦略

アメリカも中小型株の指数であるラッセル2000のパフォーマンスが悪い一方で、GAFAMは全部上がっていますが、大型の銘柄しか上がらない。これ自体は相場にとってあまりよくない流れです。日本も30銘柄くらいしか上がらないなら、4,000社も上場させる必要はないと投資家が思ってしまったら終わりですから。

相場にとっては全体的に良くないけど、これは仕方ない現実です。自分が望ましくないと思っていても、現実とは付き合っていかなきゃいけない。だから、私は日本の中小型株は大好きだけど、現実としては「中小型株が上がりづらい」と前から言っています。

友だちがパッシブ投資をして、自分はすごく調べて個別株を買っているのに、友達の方が自分より儲かったら、投資家の自信に響いてきます。ただ、成功と失敗の経験を積むことで、投資家は成長できて、ちょっとした値動きで過剰反応をしなくなりますよ。

アクティビストが日本に入ってきている状況への見解

アクティビスト※が日本に入ってきている状況は、株主にとって悪いことではないです。日本企業は日本経済の低迷とかあったけれど、今まで株価が上がらなかった要因は、上場企業は投資家目線で考えてなかったからです。
※特定の企業の株をたくさん買ったうえで、その企業の経営者に経営に関する提案をして企業価値を高めようとする投資家

配当を出さず、自社株買いをせず、かといって会社の中に貯めているお金を設備投資とか研究開発とかM&Aにも使って来なかったです。それに対して、アクティビストが「何やってるんだ!」と言うのは当然です。だって、日本には時価総額以上にキャッシュを持ってる会社があるのですから。

ファミリーカンパニーで投資家のことを考えたくないのであれば、上場廃止にしてファミリーで好きにやればいいじゃないですか。何のために上場会社をやっているのか。上場は「お金とか信頼をください」というアピールなので、時価総額以上にキャッシュがあるところは通常であれば上場失格ですよ。

だけど、別の意味でアクティビストから考えると美味しいのですよね。だから最近狙われるようになっているのだと思います。

東証はPBR(株価純資産倍率)※1倍割れの是正で頑張ってるので、大企業の割安さはだいぶ是正されました。市場再編やコーポレートガバナンスの改善に向けた取り組みも10年前からやっています。

※「Price Book-value Ratio」の略で、株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを見る指標

日本株の将来性

エミン・ユルマズ様がインタビューに答えている様子

日経平均株価が10万円になるのは、今の株価の2.5倍だからたいしたものではないです。20年、25年のスパンでは30万円くらいいくと思います。

もちろん、S&P500とかを買うのが悪いとは言わないけれど、自分のポートフォリオの半分くらいは日本株、もしくは日本の資産にすべきだと思います。為替リスクを背負わなくなるので、管理が楽ですよ。

為替は一般の方にとって、予測不能なのです。だから、日本株とアメリカ株を半々にするのがちょうどいいのかなと思います。私は日本株のほうがちょっとオーバーウェイトですけれど。

ちなみに、株式はタンス預金みたいな感覚でやってる人が最終的に勝つのです。置いといて忘れていたお金が、買った10年後にタンスから出てきて「ラッキー!」みたいな感覚で勝てます。

本当のお金持ちは目先の値上がりを期待して買ってないから、最終的に損はしない。世の中はインフレで、お金自体が目減りしたのに価値が上がるので、相当変なことをしない限り株式投資は長期で儲かるものです。

不動産投資への見解

過去にリートを買っていた時期があります。だけど、私は現物不動産に興味はあるけれど、そこまでの知識を持っていないのでやらないです。

ただ、私の知っている人で株で成功した人のなかには、ある程度の資産になると、そんなにリターンがなくてもいいので、ローリスク・ローリターンの不動産投資に進出してる人がいます。

たとえば、私の友人で、アメリカでもともとIT屋さんだったけれど、アプリが大当たりして儲かったお金の半分以上は不動産投資をして、残りはAIとかの開発をやっている人がいます。不動産はそんなにレバレッジをかけなければ、リスクが比較的に低いですから。

今後の不動産投資活動の予定

不動産投資は自分のポートフォリオの中で一定程度持ちたいですね。でも、現物でマンションをいっぱい持つとかはやらないです。もともと私は金融屋だから、それをやると自分がやっていることと矛盾するからです。

ただ、不動産会社の株を含めて、リートや不動産ファンドなど、不動産価格の上昇の恩恵を受けそうな金融商品には興味があります。そちらのほうが私の専門分野に入るので分かりやすいです。もし、新興国の不動産ファンドとかあったら、すごく興味があるので投資してみたいですね。

マンションを買って運用することはやらないと思いますが、年を取ったら意見が変わるかもしれないです。私の祖父は「土地が一番だな」とよく言っていました。お金とか他のものは幻だから、土地だけが残るとか言っていましたね。実際に祖父は土地をいっぱい残しましたから。土地だからこそ、私のダメおじさんとかダメ親父が全部売っ払うことも、使うことも簡単ではないからできず、その後に孫たちまで残ったってすごいですよね。祖父の先見の明とか知恵はすごいなと思いました。

不動産投資・不動産クラウドファンディングの魅力や将来性

エミン・ユルマズ様がインタビューに答えている様子

不動産投資の一番の魅力は、お金がなくても投資できることです。要は、不動産を担保に銀行がお金を貸してくれることです。

私が銀行に行って「今から1億円分の株買うので、ちょっとお金貸してください」と言っても絶対に断られるんですよ。元本で3,000万円持っていたら信用取引を利用することはできるけど、元本自体を金融機関は貸してくれません。でも、不動産投資は現物が元にあるから、銀行が元本がなくてもお金を貸してくれる。他の投資では考えられないことです。

一方で難しいのは、すぐに買ってすぐに売れない流動性の低さと、立地などの条件に関する専門知識の必要性です。ただ、これらの特徴をうまく組み合わせられれば、すごいビジネスですよね。不動産クラウドファンディングは、それに近いことをやろうとしています。リートも一緒ではないけど似たような発想から生まれたものだから、そういう商品は発展していくんじゃないかなと思います。

不動産は供給が限られているため、最終的には価格がインフレ化します。つまり、日本の不動産価格が全般的に落ちることはないでしょう。局所的に上がる場所とあまり上がらない場所があるけれども、日本の不動産価格が極端に落ちることはないと思います。人口の増減は関係ないです。日本の歴史や文化を考えると、人が住む場所は縄文時代から決まってるんですから。

仮に不動産クラウドファンディングに投資するならどのような戦略を取り、ポートフォリオのどのくらいの割合にするか

私のポートフォリオは複雑ですが、もしいいのがあれば、不動産は5~10%くらいは入れてもいいかなと思います。

これから日本はインフレになるし、インフレでは不動産価格が真っ先に上がります。マンション価格も下がっていないし、むしろ立地によっては他の金融商品よりも上がっていますからね。

CREALのサービスの印象

インフレ対策を考えるうえで、不動産クラウドファンディングのCREALはいい手段です。インフレが進行すると、現金や固定金利の資産は価値を失いやすくなりますが、不動産は価値を維持もしくは上昇する傾向がありますからね。

あと、インターフェースが分かりやすいです。全然日本のサイトではないみたいです。日本のWebサービスはUIがあまりユーザーフレンドリーではないと思うことは多々ありますが、CREALは海外の大きな投資サイトみたいだから、この点はすごくいいです。不動産投資に詳しくない初心者にも分かりやすい構成で、物件情報とかリスクに関する情報が見やすく理解しやすいですね。

会社としては、不動産とファイナンスをくっつけようとしているフィンテックというイメージがあります。フィンテックの企業って、実は日本にはそんなにないんですよ。グロース市場でもそんなにないんだから、数少ないフィンテック企業で頑張っているというイメージがあります。ものすごく期待してますよ。

不動産投資も含めて全体的に不動産業界を民主化させるかは、クリアルさんの課題だと思います。デモクラタイゼーションですね。不動産という資産の流動性をより高めて、一般の方が投資できるようにするのは重要な役割だと思います。

今後、日本は香港に代わって金融ハブになるから、多分金融市場が発展していくでしょう。金融市場はまだまだアナログなので、そこに新たな要素であるデジタル化を入れてほしいです。あと、クロスアセットの商品開発は重要ですね。

最後にこれから投資を検討している方へのメッセージ

エミン・ユルマズ様がインタビューに答えている様子

リテラシーも大切ですが、それ以上にマインドの変化が重要です。日本では「投資で儲かると努力しないで儲かった」とか「投資はギャンブル」という感覚がまだまだあります。

だけど、投資家さんは一生懸命勉強したり、リスクを取ったりして、その代わりにリターンを求めています。その人たちが投資するからこそ、お金が循環します。必要なところにお金が行き届かないと、その国・場所は腐敗するのです。だから、リスクを取って自分のお金を提供してる人たちに対して、「あなたたちは何もしないでお金を稼いでます」と言うようなメンタリティは変えたほうがいいです。

小さいときから、「我々はリスクを取って重要な役割をしている」「投資をすることによって世の中が豊かになる」というような発想に変えていくと、今まで日本の停滞したお金が回るようになって良くなると思います。

もう一つ重要なのは、リスクを取ることに違和感を持っていない人たちは、後にすごい文化とかビジネスを発展させるのです。アメリカのシリコンバレーの名企業が誕生した背景には、70年代後半に何も持ってない、大学中退とか高校中退の若い人たちが、自分の家のガレージでこれを作ろう、こういうのを立ち上げようと頑張ったことがあります。

そういう環境になると、世の中にチャレンジする人がより出てきて、将来の日本のGoogleとかAmazonが出てくるかもしれません。「いや、投資はダメだ」「コツコツ働いて貯蓄ばっかしましょう」では、最初からリスクを避けることを教えていますから。

リスクを取りにいかない人間は成長しないです。正しいリスクをいかに取るか。それが今の日本人のマインドには足りていないです。日本の戦後の発展は、リスクを取りに行った人たちのおかげですよ。なんでリスクを取れたかというと、戦前の教育なんです。戦前の日本はリスクを取りに行くのは悪いことではなかったからね。

私が人口減少はそこまで問題ではないと思っている理由の一つは、子どもの数が少ないほうが若い人がリスクを取りにいくからです。最悪の場合は、親の家に戻ればいいと思っているからですね。1人っ子とか2人だけだと、失敗したら親のところに行って、親が亡くなったら家が残ります。だけど、子どもが5、6人もいたら、そんなことは期待できないです。そうなると、あまり大きなリスクをとれず、普通のサラリーマンで十分と考えるようになるのです。会社を作ろうとか新たな発明をしようと思わないわけです。

日本の上場会社で学生時代からベンチャーを作った人たちをみると、やはりいいところの人たちなのですよ。家庭が裕福で、ある程度リスクが取れたわけです。私がそんなに少子化を悲観してないのは、一人当たりのリソースが増えれば、リスクを恐れずチャレンジする人が出てくるからですよ。

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エミン・ユルマズ様の書籍

※引用:Amazon

2024年6月、エミン・ユルマズ様が書籍『エブリシング・バブル 終わりと始まり』を発売されました。「地政学とマネーの未来」をテーマに、これから日本や世界で何が起きるのか、世界経済と株価はどうなるのか、資産形成は何を選び、何を避けるべきかなどが書かれています。読者からは「読みやすく分かりやすい」「体系的で理解しやすかった」「日本人にはなかなかない視点で語られているので、慧眼です」などの声が上がっているので、ぜひチェックしてみてください。

エミン・ユルマズ様のインタビューは以上です。
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